気持ちで時計を選ぶ

気持ちで時計を選ぶということはどういうことでしょう。

それは、「第一印象を大切にする」ということです。時計を選んでいるとき、何個かに一つ「これだ！」と思う時計に出会うことがあります。その時計は十中八九あなたが満足できる時計です。

けれども、「気に入った」、「やっと出会えた」と思っても、日が立つにつれ、「あの機能がないや」、「ムーブメントが良くないらしい」などと粗探しをしてしまうことはありませんか？そうではなく、最初のビビッと来た感情を大切にしてください。実はそのような気持ちにさせてくれる時計には中々出会えないものなのです。そして、全てが完璧な時計なんて滅多にないのです。

出会いは人と同じ、完璧を求めるのではなく、あなたが惹かれた最初の気持ちを大切にして欲しいと思います。その思いが不完全な部分さえも愛せるようになっていくのです。

私もたくさんの時計を購入してきましたが、その中でも特別一目惚れして買った時計があります。それは、カルティエの「パシャ」とブランパンの「レマントリプルカレンダー」です。どちらも高額だったため、購入には迷いましたが、今でも愛着があり、非常に気に入っている時計でもあります。最初の気持ちを大切にして良かったと思いました。

一つの時計で全てを得ようとしていませんか？

私の経験では、時計に興味を持った場合、多くの人が一本では満足できません。最初に「この一本あれば十分」と思った人でも、数年で次の時計が欲しくなるのです。中には買った当日に、「次は何を買おうか」と無意識に選んでいる人もいます。

なら、最初から複数本で満足させることを考えてはどうでしょうか。

黒文字盤or白文字盤、ラウンドケースorスクエアケース、ブレスタイプor革ベルトタイプ、シンプル3針orクロノグラフ、ドレッシーorスポーティ。

例えばこれらのデザインや機能の組み合わせを苦しんで苦しんで1本に絞るのではなく、3本くらいの時計で全て満たすようにすると、飽きにくく、長く付き合っていけるのではないかと思います。

目的で選ぶ、機能で選ぶ、デザインで選ぶ、いずれにせよ、良い時計に出会うためにはあなたがあなたのことを良く理解し、どんな時計を求めているのか気持ちを掘り下げてみることが一番大切です。

その先に本当に求めている時計が見つかるはずです。